「sixties design」

Sixties Design (25th Anniversary Special Edtn)

Sixties Design (25th Anniversary Special Edtn)

1960年代は、なんと刺激的な世界であったのだろうか。
その、エネルギーをビジュアル化して見せてくれる。


カラフルであり、悪趣味であり、サイエンティフィックであり、フィクショナルであり、エロティックであり、反体制的であり、暴力的である。




みなが夢を見ていたかのような時代である。


バックミンスター・フラー黒川紀章アーキグラム、アーキズーム、スーパースタジオ、そして丹下健三ら建築家がまだ見ぬ都市の夢をみた。


表紙をかざったヴェルナー・パントンに時代は追いつけず、アンディ・ウォーホルが大衆とハイカルチャーの間の壁を取り去った。


ストーンズビートルズ、モンロー、ディラン、ツィギーらはその類稀なるスター性をもって大衆に夢を見せた。





もちろん、中国における文化大革命による混乱や日本の高度成長と東京オリンピックの開催、ケネディキング牧師が殺され、ベルリンの壁が東西を分かち、そしてベトナム戦争は泥沼化した…などの歴史的イベントが背景にはある。


社会が混乱、錯乱、激動した時代だ。


世界中の若者は集団的に抑圧からの解放を訴え、エネルギーを破壊というかたちで放出した。


そのエネルギーは新たな創造のインスピレーションとなって循環したように思える。






この本を眺めていると陶酔しそうになる。


僕自身が夢に落ちていくような感覚だ。


その夢はよい夢なのか、悪夢なのかはわからない。


そしてふと我に返り(夢から目が覚めて)、2010年代にさしかかった世界を思うのである。





僕らはこの新しい時代にまだ夢を見ることができる。


そしてその夢は、少なくとも今は、悪夢ではない。